今日は鍼灸師の資格について書いてみたいと思います。
私たち自身、目指す前は鍼灸師は身近な存在ではなく、まじない師に近いような印象を持っていました。
日本では、鍼灸師は鍼と灸で治療を行う職業ですが、本家の中国ではそれ以外に「湯液」つまり漢方薬の処方がセットになって「中医師」として東洋医学に基づく医師の資格として認められています。もっとも、中国でも清代後期には、鍼灸は漢方と分離されて地位が低下して民間療法になり、20世紀中盤までの約100年間は伝統医学が衰退した時期がありました。
一方、日本では、江戸時代に鍼灸師はほぼ視覚障害者の職業として鍼灸と漢方が分離された形になっていました。この時代は、各藩の医学校を出た医師のみならず、医師に個人的に弟子入りした者や、山伏出身者が医師になったりとか、医師の資格が定まっていない時代でした。
明治に入って、医師と鍼灸師は国によって別々の資格として定められ、西洋化を推進する明治政府の方針により、鍼灸と漢方という伝統医学が衰退していった歴史を持っています。
鍼灸師国家試験
時代は流れて、先日、鍼灸師の国家試験の合格発表がありました。
現代では、我々鍼灸師は、3年間以上の専門学校又は鍼灸大学の教育を受けた後に、はり師・きゅう師の国家試験を受け合格した場合に、それぞれはり師、きゅう師の資格を得ます。一般には「鍼灸師」と呼びますが、国家資格的には「はり師」と「きゅう師」で別々の資格になっています。
この資格が国家資格となってから今年で26年になります。それまでは各都道府県別の資格でした。初めの頃の試験は難易度も低く、合格率は90%台でしたが、近年は70%台で落ち着いていました。
昨年度にはり師の合格率が60%台になり、今年はついに50%台にまで落ちるという結果になりました。まだ問題をみていないのですが、東洋医学に関する科目の難易度が上がっているとのうわさを耳にしています。
当ブログでは、近年難しくなったといわれている国家試験問題について、自らの東洋医学に関する知識の再整理と鍼灸師を目指す方たちへの応援の気持ちから、今後は時々解説をしていきたいと思います。
受験生の方、乞うご期待ください。