鍼の「ひびき」とはなんだろう?
鍼は痛いの?
鍼を刺した瞬間にチクッとする痛みを感じることがあります。これは、鍼が皮膚の表皮を突き破る時に感じる痛みです。
一方、鍼が刺さっている間に、その周辺部や手足の先端方向または体の中心部に向かって、ズーンという重だるいような、あるいはしびれるような独特の感覚が生じることがあります。
この感覚を鍼の「ひびき」と呼んでいます。
先日、鍼灸経験の浅い方が「痛い」と表現されました。鍼治療で痛みを訴えるのは、鍼が表皮を突きぬける時に感じることが多く、これは切皮痛(せっぴつう)といわれるものです。この患者さんは、鍼が皮膚面を貫いた後に鍼をより深くまで進めた時に「痛い」と表現なさいました。聞いてみると、鍼が少し入ってきた時にその周辺にズーンという感覚があり、それを痛いと表現されたようです。
患者さんからすると、この独特の感覚を言い表せなくて痛いという言葉になったようでした。
ひびかないと効果がないの?
ひびきを感じないと効かない気がしてより強い刺激を求められる方や、反対にこの特有の感覚が苦手な方に分かれます。お灸も同じように熱さを求められる方とやわらかい刺激を求められる方といらっしゃいます。
ひびき方もその時々で違うようで、じんわりと感じたり、ズンッと感じたり様々です。
ひびきの有無による効果の違いには、個人の感覚としては「必ずしもひびきが必要ではない」というのが今のところの考え方です。治療者によっては、ひびいた方が治療効果が上がると考えている方もいますし、私のようにそうでない者もいます。
強い刺激が苦手な患者さんにはどうするの?
特に痛い或いは熱いのが苦手な方や、その時の状態によって治療法を考え、なるべく刺激が少ない方法で治療効果をあげることを模索します。
いずれにしても、患者さんに合う治療を心がけています。